2012年04月23日
DIG-UP ART COLLCTION 1

DIG-UP ART COLLCTION
沖 渉二
沖 渉二の作品には正統派の挿絵画家の実力を感じる。挿絵を付けた小説等のイメージを邪魔しない人物とシーンを具体的に見せるスタイルはまさにプロフェッショナル。挿絵の他にもSMイラスト、劇画などでも魅力的な作品を発表しており、特にイラストにおいてはその本領を遺憾なく発揮している。沖の作品は主に70年代のSM雑誌に多く、描かれた人物や背景などにその時代の印象が強く現れているように感じる。またオリジナルイラストでは着物を着た女性も好んで描いていてより日本的なものへのアプローチも、70年代的な女性の顔、スタイルとともに独特の時代の雰囲気を醸しだしている。また背景に描かれた布団や着物の皺も細かく描かれ、画面のなかの動き、登場人物がその状態に至った過程までもが感じられる。沖の作品の多くは鉛筆を使ったもので、線や濃淡を使ったテクニックとデッサン力はきちんと絵を勉強したことをしょうめいしているだろう。そんな沖の作品は劇画作品の単行本(サン出版)が1冊刊行されただけであとはまとめられてない。残念である。
初出/レディースコミック「微熱」98年11月号
追記:その後「ソフトマジック」から劇画作品が単行本化され、それは「マガジンファイブ」から改訂版として再刊行されている。またイラストストーリー『バラクーダ』も刊行された。本文中で触れている「サン出版」の単行本も復刻されている。
そんな沖 渉二のイラスト作品を、Gallery Bar「ANOTHER DOOR」で展示中。
ANOTHER DOORへはコチラから。