アナザーリアリティー試論 II ・1

猫目ユウ

2010年02月09日 05:57


 Iでボクが「アナザーリアリティー」と捉える世界についての概論を述べた。IIではその世界の中について考えてみたいと思う。
 まずアナザーリアリティーと捉える要素として、ユーザーが自己投影するアバターやキャラクターがあると述べた。しかしこのアバターやキャラクターは、人の形をしているものだけではない。
 システム側が用意したキャラクターから選択するしかないMMORPGなどでは、人ではないキャラクターとして、魔族や獣人といったパターンが見られるが、ユーザー自身がアバターを制作することのできるSecond Lifeなどの仮想世界では、さらにさまざまなアバターが存在している。その世界では犬や猫といった動物や、植物、鉱物、宇宙人、まったくみたこともない「もの」にさえなれる。
 しかし外見がどうあろうと、チャットや音声による他のアバターとのコミュニケーションをはかる中で、そのアバターはユーザーの性格を反映していく。
 また現実の世界(都市など)を舞台としないMMORPGやユーザーによって街が作られる仮想世界であっても、「もうひとつの現実」として認識されるのも、このユーザー同士の交流による、キャラクターの形成によって、ということになる。生身の肉体を持つ現実とはべつの、ネット上の、モニターの向こうの架空の世界であっても、そこではユーザーは確かにそこに存在し、何らかの役割を意図的か、そうでないかも含めて演じることになるからだ。
 


※「おたくま経済新聞」にてコラム連載中。
http://www.otakei.otakuma.net/

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