アナザーリアリティー試論・6

猫目ユウ

2010年02月05日 11:27


 アナザーリアリティーは、ヴァーチャルリアリティーを呼び換えるものではないとさきに述べた。
 両者の差異についても触れたが、さらに付け加えればそこにコミュニケーションがあるかないかということがあげられると思う。
 もちろんヴァーチャルリアリティーも一方的なものではあるがコミュニケーションではある。しかし普通使われる意味での「交流」を指すものとしては、アバターやキャラクターが文字チャットや音声で会話のできるMMORPGや仮想空間におけるコミュニケーションとして認識されるだろう。
 このコミュニケーションがあるからこそ、ユーザーはアバターやキャラクターをもうひとりの自分として認識することになるのだと思う。そしてそうしたユーザーが集まることで、その世界が「もうひとつの世界」「もうひとつの現実」となっていくのではないだろうか。
 自分を自分として認識する要素として他人があり、その他人が存在するMMORPGや仮想空間だからこそ、他人とは違う自分を認識し、現実の自分をアバターやキャラクターに投影していくのではないだろうか。それにはコミュニケーションが不可欠である。



※おたくま経済新聞」にてコラム連載中。
http://www.otakei.otakuma.net/
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